インフルエンザ予防接種
予防接種の効果
インフルエンザワクチンの接種を行うことで、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を最小限にとどめることが期待できる。
65歳以上の高齢者に対して行った調査では、約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったとしている。
インフルエンザワクチンにはA型2種、B型1種が含まれている。したがって、A型、B型の両方に対して予防効果がある。
有効期間
ワクチンが十分な効果を維持する期間は接種後約2週間後から約5ヶ月とされている。
接種時期
毎年、東京でのインフルエンザ発生は1月初めから3月末にみられる。したがって、10月中旬から11月末までのあいだに予防接種を実施することが望ましい。
接種ができない場合
- 接種当日、明らかな発熱を呈している者 明らかな発熱とは、通常37.5℃以上を指す。検温は、接種を行う医療施設で行い、接種前の対象者の健康状態を把握することが必要である。
- 重篤な急性疾患にかかっている者 「重篤かつ急性」の疾患に罹患している場合には、病気の進展状況が不明であり、このような状態において予防接種を行うことはできない。逆に言えば、「重篤でない急性」の疾患や「急性でない重篤」の疾患に罹患している場合には、予防接種により症状の悪化等を想定しないと判断できる者には、慎重に判断し、予防接種による効果と副反応について十分にインフォームド・コンセントを取った上で、接種を行うことができる。
- インフルエンザワクチンの接種液の成分によってアナフィラキシーショックを呈したことがある者 インフルエンザワクチンにより、アナフィラキシーショックを呈した場合には、接種を行わない。また、卵等でアナフィラキシーショックをおこした既往歴のある者にも、接種を行わない。
- その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある者 1.~3. までに掲げる者以外の予防接種を行うことが不適当な状態にある者について、個別ケース毎に接種医により判断されることとなる。
接種の判断に際し注意が必要な場合
- 心臓血管系疾患、じん臓疾患、肝臓疾患、血液疾患等の基礎疾患を有することが明らかな者。
- 前回のインフルエンザ予防接種で2日以内に発熱のみられた者又は全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者。
- 過去にけいれんの既往のある者。
- 過去に免疫不全の診断がなされている者。
- 気管支喘息のある患者
- インフルエンザワクチンの成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来の物に対して、アレルギーを呈するおそれのある者。
重大な副作用
- アナフィラキシー 蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等があらわれることがあり、そのほとんどは接種後30分以内に生じる。
- その他、ギランバレー症候群、けいれん、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、肝機能障害・黄疸、喘息発作があらわれる等の報告がある。
その他の副作用
- 過敏症 まれに接種直後から数日中に、発疹、蕁麻疹、紅斑、掻痒等があらわれることがある。
- 全身症状 発熱、悪寒、頭痛、倦怠感等を認めることがあるが、通常、2~3日中に消失する。
- 局所症状 発赤、腫脹、疼痛等を認めることがあるが、通常、2~3日中に消失する。
接種後の一般的注意
インフルエンザワクチン接種後24時間は副反応の出現に注意し、観察しておく必要がある。特に、接種直後の30分以内は健康状態の変化に注意すること。
予防接種当日の入浴は差し支えない。接種後1時間を経過すれば、入浴は差し支えないと考えられる。
過激な運動、大量の飲酒は、それ自体で体調の変化をきたす恐れがあるので、ワクチン接種後24時間は避けるべきである。
地域差はあるが、通常我が国のインフルエンザの流行は1月上旬から3月上旬が中心であること、接種後抗体の上昇までに2週間程度を要することから、より効率的に有効性を高めるためには、12月中旬までにワクチン接種を済ますことが望ましい。
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(2020年10月6日)